祖父の形見

先日実家に帰った際、
私が中学生の頃に亡くなった祖父が買いた1冊のノートを母親から譲り受けました。
タイトルには、「備忘録」と書かれていました。

生前の祖父は、非常に面白い人でした。

現役時代は、ゴルフとマージャンが大好きで、
仕事を引退してからは、毎日カラオケに出かけていました。
そのため、家には余りいない人でした。
酒・タバコ・女遊びはありませんでした。(タバコは途中でやめたようです。)
肉が大好きで野菜が嫌いという、子供みたいな人のイメージが強くあります。

余りおしゃべりをする人ではなく、祖母からはいつもいろいろと嫌味や愚痴を言われていました。
# 戦時中の話をあたかも昨日の様に話しているという毎日でした。
# それを笑ってみてました。

ゴルフは、そこそこの腕だったのだと思います。
うちにテレビとか景品だとかを頻繁に持って帰ってきていた記憶があります。
また、非常に字がきれいで、代筆も結構していたようです。

そんな祖父は、私からは「飄々とした遊び人」というイメージでいました。
(大人になってからは、ある種、かっこいいと思っていました。)

その祖父が残した備忘録というタイトルのノートは、非常に興味があります。
ページを開く際は、なんだか他人の秘密を見るようで、なんともいえない気分でした。

中身を読んで、かなり衝撃を受けました。

遊び人のイメージが強かった祖父ですが、仕事は真摯に、かつ熱く取り組んでいたことが分かりました。
丁寧かつきれいな文字で、びっしりとメモが取られていました。
また、勤めていた会社の常務だったことも初めて知りました。
(ぺーぺーだと思っていました。ごめん。じいちゃん。)

よくよく思い出すと、
祖父が現役だった頃、朝は迎えの車が来て出勤していました。
当時小学生~中学生だった私は、自動車の運転免許がない祖父のために、
同僚の方がついでに家によってくれていて、
いっしょに出勤していると思っていました。
あれは、運転手付きのお迎えだったということが分かり、びっくりしました。
(ぺーぺーだと思っていました。ごめん。じいちゃん。2回目。)

また、書かれていた内容に関しては、
50年以上も前のメモにもかかわらず、
仕事に対する姿勢や考え方や、職場や顧客との関係や対応に関して、
今の自分にも参考になることが多数書かれていました。

今祖父が生きていたら、いろいろ相談したかったなぁ~と、つくづく思います。
でも、恐らく余り多くは語ってもらえなかっただろうなぁ~とも思います。

実は、このノートを受け取る前日に、
自分の所属する会社の社長から、
昇進の話を受けていました。

今や、直接話をすることは叶いませんが、
口数の少なかった祖父から私への、
昇進に対する訓示ではないかと思いました。

このノートは一生大切にしたいと思います。
ありがとう、じいちゃん。